VWの「up! アップ」と現行4車種(ヴィッツ・パッソ・ミラージュ・ミライース)を比較してみる

フォルクスワーゲンから車両重量が1.0トンを切り、排気量1.0L以下のエンジンを搭載するup! アップが鳴り物入りでデビューしました。ネットの海を漂っているとupはアップではなくうp・うぷ・うっぷのほうが通りが良かったりしますがその話は置いておきます。初見でパッソorブーンもしくはコルトのOEMかと思ったら全然違う車でびっくりしたという話も置いておきます。

この手の車は国産車では昔から存在していましたが、日本に輸入されてくる外車としては珍しい部類ではないかと思います。どうも世界の潮流としてはエンジンの気筒数を減らしつつ排気量を小さくして燃費を良くする、パワーが足りなければ過給器(ターボ・スーパーチャージャー)で稼ぐという、いわゆるダウンサイジングが流行っているそうなので、これもその一環であると思われます。

日本では排気量が大きくなるほど加速度的に自動車税が高くなる税制のおかげで、大昔から排気量縛りのパワー競争に明け暮れた背景があり、さらにはダウンサイジングの鑑ともいえる軽自動車規格の恩恵でお手の物になってしまったジャンルです。 軽自動車規格では排気量縛りがある上に最高出力にも64馬力縛りを入れていることから、「どれだけトルクを太らせられるか、どれだけ燃費を良くできるか」に掛けては一日の長がある、はず?です。

というわけで、VWのup!を中心とした1.0L以下のハッチバック(軽自動車を含む)を集めて比較検討してみたいと思います。今回は2012年10月現在に現行車であるAACHY型の初代up!・KSP130型の3代目ヴィッツ・KGC30型の2代目パッソorブーン・A05A型の6代目ミラージュ、軽自動車代表としてLA300S型の初代ミライースの5車種を集めてみました。
各車種の詳細については下記表の車名にあるリンクより個別記事をご覧ください。

1.0L以下かつハッチバックの比較
メーカーVolksWagenトヨタ三菱自ダイハツ
車名&リンクup!ヴィッツパッソミラージュミラ イース
グレードhigh-up! 4doorF+HanaMD
イメージ
製造開始2012/092010/122010/022012/082011/09
車両型式AACHYKSP130KGC30A05ALA300S
駆動&変速FF, 5ATFF, CVTFF, CVTFF, CVTFF, CVT
新車価格183.0万円119.5万円129.5万円118.8万円79.5万円
全長(室内長)3545 (-)3885 (1915)3650 (1830)3710 (1870)3395 (1920)
全幅(室内幅)1650 (-)1695 (1390)1665 (1420)1665 (1390)1475 (1350)
全高(室内高)1495 (-)1500 (1250)1535 (1280)1490 (1220)1500 (1240)
装着タイヤ185/55R15165/70R14165/70R14165/65R14155/65R14
最小回転半径4.6m4.5m4.7m4.4m4.4m
車両重量920kg970kg910kg870kg730kg
エンジン型式CHY1KR-FE1KR-FE3A90KF
配列形式直列3気筒直列3気筒直列3気筒直列3気筒直列3気筒
排気量999cc996cc996cc999cc658cc
最高出力75/620069/600069/600069/600052/6800
最大トルク9.7/3000-43009.4/36009.4/36008.8/50006.1/5200
リッター馬力75.1ps/L69.3ps/L69.3ps/L69.1ps/L79.0ps/L
パワーウェイト12.27kg/ps14.06kg/ps13.19kg/ps12.61kg/ps14.04kg/ps
10-15モード燃費23.0km/L22.5km/L32.0km/L
JC08モード燃費23.1km/L20.8km/L20.8km/L27.2km/L30.0km/L
航続距離808.5km873.6km832.0km952.0km900.0km
100km/h回転数-13010rpm2250rpm2420rpm1920rpm2710rpm
100km/h回転数-23速-5140rpm
  • 各車両の詳細は車名にあるリンクより個別記事をご覧ください。
  • 100km/h回転数-1は最も高いギヤ比で時速100kmを出したときの回転数。
  • 100km/h回転数-2は暫定レブ以下で時速100kmを出せる最も低いギヤとその回転数。

表の上から順に見ていくと、まず目に留まるのはup!だけが5ATを採用していることです。日本車はATからCVTへの移行が進んでいることを実感させられます。MTなんて時代ではないのです。ミライースにMTがなくて夜な夜な枕を濡らすのも当然の話なのです。

ボディの寸法では全長が軽自動車とあまり変わらず、全幅では1650mm前後でパッソとほぼ同じ、全高は1500mm前後でどれも大差ありません。室内の寸法がないのは外車のデフォ仕様ではありますが、車体そのものの大きさから見るにそこまで違いはないのではないか、という印象です。

車両重量から考えてみると、上に1500ccエンジン搭載モデルがあるヴィッツは一つ格上の感がするので、車格的にはパッソあたりと同格なのかもしれません。900kgを切って800kg台のミラージュ、800kgを切って730kgしかないミライースの軽さは特筆に値します。

続いてエンジン性能について見てみると、1000ccの排気量から75馬力の最高出力、9.7kgmの最大トルクを発生させるup!のエンジンはなかなかのものです。排気量1リットルあたりの馬力ではミライースに次ぐ好成績、パワーウェイトレシオでは最軽量のミラージュを抑え堂々の1位に輝きました。
参考:排気量1.0L以下のパワーウェイトレシオTOP100

燃費では燃費スペシャルのミライースが叩き出す30.0km/L、軽量ボディのミラージュが誇る27.2km/Lには及びませんが、ヴィッツ&パッソの20.8km/Lには勝ります。必ずしもCVTがATより燃費に優れるわけではなく、パワーがあると燃費が悪いというわけでもないようですが、軽量であることが燃費に有利に働くのは間違いないようです。

航続距離は燃費も然ることながら燃料タンクの容量にも左右されるので割愛して、時速100kmで走行するときの回転数に目をやりますと、up!は他車よりかなり高めの3010回転まで回ります。この3010回転というのはなかなかにおもしろい回転数で、up!が搭載するエンジンが最大トルクを発生させる回転数(3000-4300rpm)の下限に近似しているので、5速ギヤの時速100kmからシフトダウンせずに加速していけそうな感じです。パワーがないならギヤ比を低くすればいいじゃない!という潔さを感じます。

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