日産 VR38DETT型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒3799cc]

ここでは日産のR35型の初代GT-R [NISMO] に搭載されているVR38DETT型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

VR38DETT型のツインターボエンジン諸元


R35型 GT-R 主要諸元まとめ
車両型式DBA-R35
車名&グレードGT-R
[NISMO]
エンジン型式VR38DETT
種類V型6気筒
排気量3799cc
内径×行程95.5mm×88.4mm
単気筒容積633.2cc
ボアストローク比0.93
圧縮比9.0
燃焼室容積79.2cc
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力600PS/6500rpm
最大トルク66.5kgm/3200-5800rpm

まず基本的な成り立ちとして、VR38型エンジンはボア(内径)95.5mm、ストローク(行程)88.4mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のVR38DETT型エンジンの場合の計算式は633.2cc÷(9.0-1)となり、燃焼室容積は79.2ccになります。

このサイトにて登録されている車種のうち、VR38DETT型のツインターボエンジンを搭載する最も古い車種は2007/12から発売された初代GT-R [2014/04]、最も新しい車種は2007/12から発売された初代GT-R [2019/10]となっており、全部で9車種(NA車0台・ターボ車9台)が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
VR38のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷297.1PS → 600PS
トルクの変遷66.5kgm → 66.1kgm
リッター馬力157.9PS/L
リッタートルク17.50kgm/L

今回の参考車両であるGT-RのV型6気筒3799cc、圧縮比9.0でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、6500回転のとき最高出力600馬力を、3200-5800回転のとき最大トルク66.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3200回転での馬力は297.1PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは66.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は157.9PS/L、トルクは17.50kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積633.2cc)あたりの出力は100.0PS、11.1kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が157.9PS/L、トルクが17.50kgm/LであるVR38型のツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 8 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
95.5mm88.4mm3799cc9.00.93
ボアアップによる排気量アップ
96.0mm88.4mm3839cc9.080.92
96.5mm3879cc9.170.92
97.0mm3919cc9.240.91
97.5mm3960cc9.330.91
98.0mm4001cc9.420.90
98.5mm4042cc9.510.90

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の95.5mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(95.5mm→98.5mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。VR38型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3200rpm
最高出力
6500rpm
88.4mm9.4m/s19.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.9m/s21.2km/h
4000rpm11.8m/s42.5km/h
6000rpm17.7m/s63.7km/h
8000rpm23.6m/s85.0km/h
10000rpm29.5m/s106.2km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.4mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは19.2m/sとなり、これは1秒間に19.2メートル(時速にすると69.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3200回転では9.4m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.6m/sとなっています。

参考までにストロークが88.4mmのVR38型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.90m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6790回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


VR38DETT型のエンジンを搭載する車種の例

全9件をアクセスが多いものから順に表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
日産
R35
GT-R
NISMO
(2014/04)
600ps
66.5kgm
-
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
Spec-V
(2010/11)
530ps
62.5kgm
8.6kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
2人乗り
日産
R35
GT-R
Egoist-2012model
(2011/11)
550ps
64.5kgm
8.7kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
Pure-edition 2017
(2016/07)
570ps
65.0kgm
8.8kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
Pure-Edition
(2010/11)
530ps
62.5kgm
8.6kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
Black-Edition
(2007/12)
480ps
60.0kgm
8.2kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
Premium-Edition
(2009/12)
485ps
60.0kgm
8.4kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
NISMO 2020
(2019/10)
600ps
66.5kgm
7.8kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
日産
R35
GT-R
Pure-edition 2020
(2019/10)
570ps
65.0kgm
7.8kmL
TT [4WD/6AT]
クーペ
4人乗り
[投稿日:2011/05/30 更新日:2019/10/01]

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