BMW S70B56型エンジンの諸元と性能まとめ [V型12気筒5576cc]

ここではBMWの850CSI型の初代8シリーズ [850CSI E31] に搭載されているS70B56型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

S70B56型の自然吸気エンジン諸元


850CSI型 8シリーズ 主要諸元まとめ
車両型式E-850CSI
車名&グレード8シリーズ
[850CSI E31]
エンジン型式S70B56
種類V型12気筒
排気量5576cc
内径×行程86.0mm×80.0mm
単気筒容積464.7cc
ボアストローク比0.93
圧縮比9.8
燃焼室容積52.8cc
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力381PS/5300rpm
最大トルク56.1kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、S70B56型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)80.0mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のS70B56型エンジンの場合の計算式は464.7cc÷(9.8-1)となり、燃焼室容積は52.8ccになります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
S70B56のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷313.3PS → 381PS
トルクの変遷56.1kgm → 51.5kgm
リッター馬力68.3PS/L
リッタートルク10.06kgm/L

今回の参考車両である8シリーズのV型12気筒5576cc、圧縮比9.8でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5300回転のとき最高出力381馬力を、4000回転のとき最大トルク56.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は313.3PS、最高出力が発生する5300回転でのトルクは51.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は68.3PS/L、トルクは10.06kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積464.7cc)あたりの出力は31.8PS、4.7kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が68.3PS/L、トルクが10.06kgm/LであるS70B56型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 7 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
86.0mm80.0mm5576cc9.80.93
ボアアップによる排気量アップ
86.5mm80.0mm5641cc9.900.92
87.0mm5707cc10.020.92
87.5mm5773cc10.110.91
88.0mm5839cc10.220.91
88.5mm5905cc10.320.90
89.0mm5972cc10.430.90

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(86.0mm→89.0mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。S70B56型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
5300rpm
80.0mm10.7m/s14.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19.1km/h
4000rpm10.7m/s38.5km/h
6000rpm16.0m/s57.6km/h
8000rpm21.3m/s76.7km/h
10000rpm26.7m/s96.1km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.0mmのエンジンが最高出力を発生する5300回転での平均ピストンスピードは14.1m/sとなり、これは1秒間に14.1メートル(時速にすると50.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では10.7m/s、最高出力が発生する5300回転より500回転高い5800回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は15.5m/sとなっています。

参考までにストロークが80.0mmのS70B56型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7500回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


S70B56型のエンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
BMW
850CSI
8シリーズ
850CSI E31
(1994/03)
381ps
56.1kgm
-
NA [FR/6MT]
クーペ
4人乗り
[投稿日:2016/11/04]

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