BMW S65B40A型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒3999cc]

ここではBMWのWD40型5代目M3 [M3 Coupe E92] に搭載されているS65B40A型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

S65B40A型の自然吸気エンジン諸元


WD40型 M3 主要諸元まとめ
車両型式ABA-WD40
車名&グレードM3
[M3 Coupe E92]
エンジン型式S65B40A
種類V型8気筒
排気量3999cc
内径×行程92.0mm×75.2mm
単気筒容積499.9cc
ボアストローク比0.82
圧縮比12.0
燃焼室容積45.4cc
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力420PS/8300rpm
最大トルク40.8kgm/3900rpm

まず基本的な成り立ちとして、S65B40型エンジンはボア(内径)92.0mm、ストローク(行程)75.2mm、ボアストローク比0.82のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のS65B40A型エンジンの場合の計算式は499.9cc÷(12.0-1)となり、燃焼室容積は45.4ccになります。

このサイトにてS65B40A型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2007/09から発売された5代目M3 [2010/05]が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
S65B40のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷222.1PS → 420PS
トルクの変遷40.8kgm → 36.2kgm
リッター馬力105.0PS/L
リッタートルク10.20kgm/L

今回の参考車両であるM3のV型8気筒3999cc、圧縮比12.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、8300回転のとき最高出力420馬力を、3900回転のとき最大トルク40.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3900回転での馬力は222.1PS、最高出力が発生する8300回転でのトルクは36.2kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は105.0PS/L、トルクは10.20kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.9cc)あたりの出力は52.5PS、5.1kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が105.0PS/L、トルクが10.20kgm/LであるS65B40型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 8 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
92.0mm75.2mm3999cc12.00.82
ボアアップによる排気量アップ
92.5mm75.2mm4043cc12.120.81
93.0mm4086cc12.260.81
93.5mm4131cc12.370.80
94.0mm4175cc12.500.80
94.5mm4219cc12.610.80
95.0mm4264cc12.740.79

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の92.0mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(92.0mm→95.0mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.82からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。S65B40型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.82から0.79に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3900rpm
最高出力
8300rpm
75.2mm9.8m/s20.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.0m/s18.0km/h
4000rpm10.0m/s36.0km/h
6000rpm15.0m/s54.0km/h
8000rpm20.1m/s72.4km/h
10000rpm25.1m/s90.4km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが75.2mmのエンジンが最高出力を発生する8300回転での平均ピストンスピードは20.8m/sとなり、これは1秒間に20.8メートル(時速にすると74.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3900回転では9.8m/s、最高出力が発生する8300回転より500回転高い8800回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は22.1m/sとなっています。

参考までにストロークが75.2mmのS65B40型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.03m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、7980回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


S65B40A型のエンジンを搭載する車種の例

全4件をアクセスが多いものから順に表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
BMW
WD40
M3
M3 Coupe E92
(2010/05)
420ps
40.8kgm
8.2kmL
NA [FR/6MT]
クーペ
4人乗り
BMW
VA40
M3
M3-Sedan E90
(2010/05)
420ps
40.8kgm
9.3kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
BMW
VA40
M3
M3-Sedan E90
(2010/05)
420ps
40.8kgm
8.2kmL
NA [FR/6MT]
セダン
5人乗り
BMW
WD40
M3
M3 Coupe E92
(2010/05)
420ps
40.8kgm
9.3kmL
NA [FR/7AT]
クーペ
4人乗り
[投稿日:2016/11/04]

コメントは停止中です。