BMW N73B60A型エンジンの諸元と性能まとめ [V型12気筒5972cc]

ここではBMWのGN60型4代目7シリーズ [760iL E66] に搭載されているN73B60A型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

N73B60A型の自然吸気エンジン諸元


GN60型 7シリーズ 主要諸元まとめ
車両型式ABA-GN60
車名&グレード7シリーズ
[760iL E66]
エンジン型式N73B60A
種類V型12気筒
排気量5972cc
内径×行程89.0mm×80.0mm
単気筒容積497.7cc
ボアストローク比0.90
圧縮比11.3
燃焼室容積48.3cc
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力445PS/6000rpm
最大トルク61.2kgm/3950rpm

まず基本的な成り立ちとして、N73B60型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)80.0mm、ボアストローク比0.90のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のN73B60A型エンジンの場合の計算式は497.7cc÷(11.3-1)となり、燃焼室容積は48.3ccになります。

N73B60A型と類似するエンジン型式としては、[ N74B60A型 ]の1種類があります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
N73B60のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷337.5PS → 445PS
トルクの変遷61.2kgm → 53.1kgm
リッター馬力74.5PS/L
リッタートルク10.25kgm/L

今回の参考車両である7シリーズのV型12気筒5972cc、圧縮比11.3でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力445馬力を、3950回転のとき最大トルク61.2kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3950回転での馬力は337.5PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは53.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は74.5PS/L、トルクは10.25kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積497.7cc)あたりの出力は37.1PS、5.1kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が74.5PS/L、トルクが10.25kgm/LであるN73B60型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.0mm80.0mm5972cc11.30.90
ボアアップによる排気量アップ
89.5mm80.0mm6039cc11.410.89
90.0mm6107cc11.540.89
90.5mm6175cc11.660.88
91.0mm6244cc11.770.88
91.5mm6312cc11.890.87
92.0mm6382cc12.010.87

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(89.0mm→92.0mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.90からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。N73B60型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.90から0.87に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3950rpm
最高出力
6000rpm
80.0mm10.5m/s16.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19.1km/h
4000rpm10.7m/s38.5km/h
6000rpm16.0m/s57.6km/h
8000rpm21.3m/s76.7km/h
10000rpm26.7m/s96.1km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.0mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは16.0m/sとなり、これは1秒間に16.0メートル(時速にすると57.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3950回転では10.5m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.3m/sとなっています。

参考までにストロークが80.0mmのN73B60型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7500回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


N73B60A型のエンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
BMW
GN60
7シリーズ
760iL E66
(2008/10)
445ps
61.2kgm
5.4kmL
NA [FR/6AT]
セダン
5人乗り
[投稿日:2016/11/04]

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