ベンツ M276型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒+モーター3497cc]

ここではベンツの222057型6代目Sクラス セダン [S400 Hybrid W222] に搭載されているM276型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M276型の自然吸気エンジン諸元


222057型 Sクラス セダン 主要諸元まとめ
車両型式DAA-222057
車名&グレードSクラス セダン
[S400 Hybrid W222]
エンジン型式M276
種類V型6気筒+モーター
排気量3497cc
内径×行程92.9mm×86.0mm
単気筒容積582.9cc
ボアストローク比0.93
圧縮比12.0
燃焼室容積53.0cc
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力306PS/6500rpm
最大トルク37.7kgm/3500-5250rpm

まず基本的な成り立ちとして、M276型エンジンはボア(内径)92.9mm、ストローク(行程)86.0mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のM276型エンジンの場合の計算式は582.9cc÷(12.0-1)となり、燃焼室容積は53.0ccになります。

このサイトにて登録されている車種のうち、M276型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は2005/10から発売された5代目Sクラス [2011/11]、最も新しい車種は2016/11から発売された5代目Eクラス ステーションワゴン [2016/11]となっており、全部で25車種(NA車16台・ターボ車9台)が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M276のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷184.2PS → 306PS
トルクの変遷37.7kgm → 33.7kgm
リッター馬力87.5PS/L
リッタートルク10.78kgm/L

今回の参考車両であるSクラス セダンのV型6気筒+モーター3497cc、圧縮比12.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6500回転のとき最高出力306馬力を、3500-5250回転のとき最大トルク37.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3500回転での馬力は184.2PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは33.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は87.5PS/L、トルクは10.78kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積582.9cc)あたりの出力は51.0PS、6.3kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が87.5PS/L、トルクが10.78kgm/LであるM276型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 9 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
92.9mm86.0mm3497cc12.00.93
ボアアップによる排気量アップ
93.4mm86.0mm3535cc12.110.92
93.9mm3573cc12.250.92
94.4mm3611cc12.360.91
94.9mm3650cc12.470.91
95.4mm3688cc12.600.90
95.9mm3727cc12.720.90

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の92.9mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(92.9mm→95.9mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M276型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3500rpm
最高出力
6500rpm
86.0mm10.0m/s18.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.7m/s20.5km/h
4000rpm11.5m/s41.4km/h
6000rpm17.2m/s61.9km/h
8000rpm22.9m/s82.4km/h
10000rpm28.7m/s103.3km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが86.0mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは18.6m/sとなり、これは1秒間に18.6メートル(時速にすると67.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3500回転では10.0m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.1m/sとなっています。

参考までにストロークが86.0mmのM276型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.75m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6980回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M276型のエンジンを搭載する車種の例

全25件のうち、アクセスが多いものから順に上位10車種までを表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
ベンツ
222057
Sクラス セダン
S400 Hybrid W222
(2014/06)
306ps
37.7kgm
15.4kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
212255
Eクラス ステーションワゴン
E300 Blue-Efficiency S212
(2011/11)
252ps
34.7kgm
12.0kmL
NA [FR/7AT]
ワゴン
5人乗り
ベンツ
166057
Mクラス
ML350 4Matic Blue-Efficiency W166
(2012/06)
306ps
37.7kgm
10.4kmL
NA [4WD/7AT]
SUV
5人乗り
ベンツ
204057
Cクラス セダン
C350 Blue-Efficiency Avantgarde W204
(2011/10)
306ps
37.7kgm
12.8kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
172457
SLKクラス
SLK350 Blue-Efficiency R172
(2011/07)
306ps
37.7kgm
12.4kmL
NA [FR/7AT]
オープンカー
2人乗り
ベンツ
221057
Sクラス
S350 Blue-Efficiency W221
(2011/11)
306ps
37.7kgm
12.4kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
212259
Eクラス ステーションワゴン
E350 Blue-Efficiency S212
(2011/11)
306ps
37.7kgm
12.4kmL
NA [FR/7AT]
ワゴン
5人乗り
ベンツ
204257
Cクラス ステーションワゴン
C350 Blue-Efficiency Avantgarde S204
(2011/10)
306ps
37.7kgm
12.8kmL
NA [FR/7AT]
ワゴン
5人乗り
ベンツ
218359
CLSクラス
CLS350 Blue-Efficiency C218
(2011/10)
306ps
37.7kgm
12.0kmL
NA [FR/7AT]
セダン
4人乗り
ベンツ
R231
SLクラス
SL350 Blue-Efficiency R231
(2012/03)
306ps
37.7kgm
-
NA [FR/7AT]
オープンカー
2人乗り
M276型エンジンを搭載する車種の一覧表
パワーウェイトレシオ順(全25件)
[投稿日:2016/11/02]

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