ベンツ M156型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒6208cc]

ここではベンツの211077型3代目Eクラス [E63 AMG W211] に搭載されているM156型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M156型の自然吸気エンジン諸元


211077型 Eクラス 主要諸元まとめ
車両型式CBA-211077
車名&グレードEクラス
[E63 AMG W211]
エンジン型式M156
種類V型8気筒
排気量6208cc
内径×行程102.2mm×94.6mm
単気筒容積776.0cc
ボアストローク比0.93
圧縮比11.3
燃焼室容積75.3cc
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力514PS/6800rpm
最大トルク64.2kgm/5200rpm

まず基本的な成り立ちとして、M156型エンジンはボア(内径)102.2mm、ストローク(行程)94.6mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のM156型エンジンの場合の計算式は776.0cc÷(11.3-1)となり、燃焼室容積は75.3ccになります。

このサイトにて登録されている車種のうち、M156型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は2001/10から発売された5代目SLクラス [2011/05]、最も新しい車種は2010/06から発売された初代SLSクラス AMG [2011/09]となっており、全部で20車種(NA車20台・ターボ車0台)が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M156のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷466.0PS → 514PS
トルクの変遷64.2kgm → 54.1kgm
リッター馬力82.8PS/L
リッタートルク10.34kgm/L

今回の参考車両であるEクラスのV型8気筒6208cc、圧縮比11.3でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6800回転のとき最高出力514馬力を、5200回転のとき最大トルク64.2kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5200回転での馬力は466.0PS、最高出力が発生する6800回転でのトルクは54.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は82.8PS/L、トルクは10.34kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積776.0cc)あたりの出力は64.2PS、8.0kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が82.8PS/L、トルクが10.34kgm/LであるM156型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 8 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
102.2mm94.6mm6208cc11.30.93
ボアアップによる排気量アップ
102.7mm94.6mm6269cc11.410.92
103.2mm6330cc11.500.92
103.7mm6392cc11.610.91
104.2mm6453cc11.720.91
104.7mm6516cc11.810.90
105.2mm6578cc11.920.90

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の102.2mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(102.2mm→105.2mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M156型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5200rpm
最高出力
6800rpm
94.6mm16.4m/s21.4m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s22.7km/h
4000rpm12.6m/s45.4km/h
6000rpm18.9m/s68.0km/h
8000rpm25.2m/s90.7km/h
10000rpm31.5m/s113.4km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが94.6mmのエンジンが最高出力を発生する6800回転での平均ピストンスピードは21.4m/sとなり、これは1秒間に21.4メートル(時速にすると77.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5200回転では16.4m/s、最高出力が発生する6800回転より500回転高い7300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は23.0m/sとなっています。

参考までにストロークが94.6mmのM156型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.30m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6340回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


M156型のエンジンを搭載する車種の例

全20件のうち、アクセスが多いものから順に上位10車種までを表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
ベンツ
211077
Eクラス
E63 AMG W211
(2008/08)
514ps
64.2kgm
5.6kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
204077
Cクラス セダン
C63 AMG Performance-Plus W204
(2010/05)
487ps
61.2kgm
-
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
164177
Mクラス
ML63-AMG W164
(2008/10)
510ps
64.2kgm
5.3kmL
NA [4WD/7AT]
SUV
5人乗り
ベンツ
219377
CLSクラス
CLS63 AMG W219
(2010/11)
514ps
64.2kgm
5.8kmL
NA [FR/7AT]
セダン
4人乗り
ベンツ
204507
Cクラス セダン
C63 AMG Edition507 W204
(2013/08)
507ps
62.2kgm
-
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
221177
Sクラス
S63 AMG Long W221
(2009/09)
525ps
64.2kgm
5.4kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
204507
Cクラス ステーションワゴン
C63 AMG Edition507 S204
(2013/08)
507ps
62.2kgm
-
NA [FR/7AT]
ワゴン
5人乗り
ベンツ
212077
Eクラス セダン
E63 AMG W212
(2010/08)
524ps
64.2kgm
6.1kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
204077
Cクラス セダン
C63 AMG W204
(2011/08)
457ps
61.2kgm
7.1kmL
NA [FR/7AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
204277
Cクラス ステーションワゴン
C63 AMG S204
(2011/08)
457ps
61.2kgm
7.1kmL
NA [FR/7AT]
ワゴン
5人乗り
M156型エンジンを搭載する車種の一覧表
パワーウェイトレシオ順(全20件)
[投稿日:2016/11/02]

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