アウディ BYH型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒4163cc]

ここではアウディの42BYHF型の初代R8 [4.2FSI-Quattro] に搭載されているBYH型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

BYH型の自然吸気エンジン諸元


42BYHF型 R8 主要諸元まとめ
車両型式ABA-42BYHF
車名&グレードR8
[4.2FSI-Quattro]
エンジン型式BYH
種類V型8気筒
排気量4163cc
内径×行程84.5mm×92.8mm
単気筒容積520.4cc
ボアストローク比1.10
圧縮比12.5
燃焼室容積45.3cc
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力430PS/7900rpm
最大トルク43.8kgm/4500-6000rpm

まず基本的な成り立ちとして、BYH型エンジンはボア(内径)84.5mm、ストローク(行程)92.8mm、ボアストローク比1.10のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回のBYH型エンジンの場合の計算式は520.4cc÷(12.5-1)となり、燃焼室容積は45.3ccになります。

このサイトにてBYH型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2007/07から発売された初代R8 [2011/07]が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
BYHのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷275.2PS → 430PS
トルクの変遷43.8kgm → 39.0kgm
リッター馬力103.3PS/L
リッタートルク10.52kgm/L

今回の参考車両であるR8のV型8気筒4163cc、圧縮比12.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7900回転のとき最高出力430馬力を、4500-6000回転のとき最大トルク43.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4500回転での馬力は275.2PS、最高出力が発生する7900回転でのトルクは39.0kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は103.3PS/L、トルクは10.52kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積520.4cc)あたりの出力は53.8PS、5.5kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が103.3PS/L、トルクが10.52kgm/LであるBYH型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 8 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.5mm92.8mm4163cc12.51.10
ボアアップによる排気量アップ
85.0mm92.8mm4213cc12.631.09
85.5mm4262cc12.771.09
86.0mm4312cc12.901.08
86.5mm4363cc13.031.07
87.0mm4413cc13.191.07
87.5mm4464cc13.321.06

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.5mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(84.5mm→87.5mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。BYH型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.10から1.06に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4500rpm
最高出力
7900rpm
92.8mm13.9m/s24.4m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22.3km/h
4000rpm12.4m/s44.6km/h
6000rpm18.6m/s67.0km/h
8000rpm24.7m/s88.9km/h
10000rpm30.9m/s111.2km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.8mmのエンジンが最高出力を発生する7900回転での平均ピストンスピードは24.4m/sとなり、これは1秒間に24.4メートル(時速にすると87.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4500回転では13.9m/s、最高出力が発生する7900回転より500回転高い8400回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は26.0m/sとなっています。

参考までにストロークが92.8mmのBYH型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.17m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6470回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


BYH型のエンジンを搭載する車種の例

全2件をアクセスが多いものから順に表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
アウディ
42BYHF
R8
4.2FSI-Quattro
(2011/07)
430ps
43.8kgm
-
NA [4WD/6MT]
クーペ
2人乗り
アウディ
42BYHF
R8
4.2FSI-Quattro
(2011/07)
430ps
43.8kgm
-
NA [4WD/6AT]
クーペ
2人乗り
[投稿日:2016/11/05]

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