ここではシトロエンのB585F0型の初代C4ピカソ [1.6T-Excrusive] に搭載されている5FX型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
5FX型のターボエンジン諸元
![]() B585F0型 C4ピカソ 主要諸元まとめ |
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車両型式 | ABA-B585F04P |
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車名&グレード | C4ピカソ [1.6T-Excrusive] |
エンジン型式 | 5FX |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 1598cc |
内径×行程 | 77.0mm×85.8mm |
単気筒容積 | 399.5cc |
ボアストローク比 | 1.11 |
吸気方式 | ターボ |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 150PS/5800rpm |
最大トルク | 24.5kgm/1400-3500rpm |
まず基本的な成り立ちとして、5FX型エンジンはボア(内径)77.0mm、ストローク(行程)85.8mm、ボアストローク比1.11のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。
なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 47.9PS → 150PS |
トルクの変遷 | 24.5kgm → 18.5kgm |
リッター馬力 | 93.87PS/L |
リッタートルク | 15.33kgm/L |
今回の参考車両であるC4ピカソの直列4気筒1598ccでハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5800回転のとき最高出力150馬力を、1400-3500回転のとき最大トルク24.5kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1400回転での馬力は47.9PS、最高出力が発生する5800回転でのトルクは18.5kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は93.87PS/L、トルクは15.33kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積399.5cc)あたりの出力は37.5PS、6.1kgmです。
排気量1リットルあたりの馬力が93.87PS/L、トルクが15.33kgm/Lである5FX型のターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。
排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
77.0mm | 85.8mm | 1598cc | - | 1.11 |
ボアアップによる排気量アップ | ||||
77.5mm | 85.8mm | 1619cc | - | 1.11 |
78.0mm | 1640cc | - | 1.10 | |
78.5mm | 1661cc | - | 1.09 | |
79.0mm | 1682cc | - | 1.09 | |
79.5mm | 1704cc | - | 1.08 | |
80.0mm | 1725cc | - | 1.07 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の77.0mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(77.0mm→80.0mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。5FX型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.11から1.07に変化するという具合です。
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.8mmのエンジンが最高出力を発生する5800回転での平均ピストンスピードは16.6m/sとなり、これは1秒間に16.6メートル(時速にすると59.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する1400回転では4.0m/s、最高出力が発生する5800回転より500回転高い6300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.0m/sとなっています。
参考までにストロークが85.8mmの5FX型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.73m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6990回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
5FX型のエンジンを搭載する車種の例
メーカー 車両型式 |
イメージ | 車名&グレード 記事リンク |
出力 燃費 |
吸気 [駆動系] 車体形状 定員 |
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シトロエン B585F0 |
![]() |
C4ピカソ 1.6T-Excrusive (2010/04) | 150ps 24.5kgm 10.7kmL |
TB [FF/6AT] ミニバン 7人乗り |