キャデラック:3H型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒3564cc]

ここではキャデラックのX322B型2代目CTS スポーツワゴン [3.6-Premium] に搭載されている3H型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

3H型の自然吸気エンジン諸元


X322B型 CTS スポーツワゴン 主要諸元まとめ
車両型式 ABA-X322B
車名&グレード CTS スポーツワゴン
3.6-Premium
エンジン型式 3H
種類 V型6気筒
排気量 3564cc
内径×行程 94.0mm×85.6mm
ボアストローク比 0.91
吸気方式 自然吸気
使用燃料 レギュラーガソリン
最高出力 322PS/6800rpm
最大トルク 38.0kgm/4900rpm

まず基本的な成り立ちとして、3H型エンジンはボア(内径)94.0mm、ストローク(行程)85.6mm、ボアストローク比0.91のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、3H型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2003/03から発売された初代CTS [2007/02]、最も新しい車種は2011/01から発売された2代目CTS クーペ [2012/01]となっており、全部で6車種(NA車6台・ターボ車0台)が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
3Hのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷259.9PS → 322PS
トルクの変遷38.0kgm → 33.9kgm
リッター馬力90.35PS/L
リッタートルク10.66kgm/L

今回の参考車両であるCTS スポーツワゴンのV型6気筒3564ccでレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6800回転のとき最高出力322馬力を、6800回転のとき最大トルク38.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4900回転での馬力は259.9PS、最高出力が発生する6800回転でのトルクは33.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は90.35PS/L、トルクは10.66kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積594.0cc)あたりの出力は53.7PS、6.3kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が90.35PS/L、トルクが10.66kgm/Lである3H型の自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 9 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
94.0mm85.6mm3564cc-0.91
ボアアップによる排気量拡大
94.5mm85.6mm3602cc-0.91
95.0mm3640cc-0.90
95.5mm3679cc-0.90
96.0mm3717cc-0.89
96.5mm3756cc-0.89
97.0mm3795cc-0.88
ストロークアップによる排気量拡大
94.0mm86.6mm3606cc-0.92
87.6mm3647cc-0.93
88.6mm3689cc-0.94
89.6mm3731cc-0.95
90.6mm3772cc-0.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の94.0mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(94.0mm→97.0mm)した場合および、ストロークを純正の85.6mmから1mm刻みで+5.0mmまで延長(85.6mm→90.6mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.91からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。3H型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.91から0.88に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク 最大トルク
4900rpm
最高出力
6800rpm
85.6mm 14.0m/s 19.4m/s
回転数/分 秒速 時速
2000rpm 5.7m/s 20.5km/h
4000rpm 11.4m/s 41.0km/h
6000rpm 17.1m/s 61.6km/h
8000rpm 22.8m/s 82.1km/h
10000rpm 28.5m/s 102.6km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.6mmのエンジンが最高出力を発生する6800回転での平均ピストンスピードは19.4m/sとなり、これは1秒間に19.4メートル(時速にすると69.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4900回転では14.0m/s、最高出力が発生する6800回転より500回転高い7300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.8m/sとなっています。

参考までにストロークが85.6mmの3H型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.70m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7010回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


3H型のエンジンを搭載する車種の例

全6件をアクセスが多いものから順に表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ 車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
キャデラック
T265S
SRX
3.6-Sport
(2009/01)
258PS
35.0kgm
6.7kmL
NA [4WD/5AT]
SUV
7人乗り
キャデラック
X322B
CTS スポーツワゴン
3.6-Premium
(2012/01)
322PS
38.0kgm
8.2kmL
NA [FR/6AT]
ワゴン
5人乗り
キャデラック
X322B
CTS クーペ
CTS-Coupe
(2012/01)
322PS
38.0kgm
8.3kmL
NA [FR/6AT]
クーペ
4人乗り
キャデラック
X322B
CTS セダン
3.6-Premium
(2012/01)
322PS
38.0kgm
8.2kmL
NA [FR/6AT]
セダン
5人乗り
キャデラック
X295S
STS
3.6L
(2010/02)
311PS
38.1kgm
8.1kmL
NA [FR/6AT]
セダン
5人乗り
キャデラック
AD33H
CTS
3.6L
(2007/02)
255PS
34.7kgm
7.8kmL
NA [FR/5AT]
セダン
5人乗り
[投稿日:2016/11/11]

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