ベンツ 275M60型エンジンの諸元と性能まとめ [V型12気筒5980cc]

ここではベンツの221179型5代目Sクラス [S65 AMG Long W221] に搭載されている275M60型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

275M60型のツインターボエンジン諸元


221179型 Sクラス 主要諸元まとめ
車両型式ABA-221179
車名&グレードSクラス
[S65 AMG Long W221]
エンジン型式275M60
種類V型12気筒
排気量5980cc
内径×行程82.6mm×93.0mm
単気筒容積498.3cc
ボアストローク比1.13
圧縮比9.0
燃焼室容積62.3cc
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力629PS/4600-5000rpm
最大トルク102.0kgm/2300-4300rpm

まず基本的な成り立ちとして、275M60型エンジンはボア(内径)82.6mm、ストローク(行程)93.0mm、ボアストローク比1.13のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

1気筒あたりのシリンダー容積と圧縮比を使って燃焼室容積を計算してみますと、今回の275M60型エンジンの場合の計算式は498.3cc÷(9.0-1)となり、燃焼室容積は62.3ccになります。

このサイトにて登録されている車種のうち、275M60型のツインターボエンジンを搭載する最も古い車種は1998/11から発売された4代目Sクラス [2004/07]、最も新しい車種は2006/11から発売された3代目CLクラス [2011/07]となっており、全部で3車種(NA車0台・ターボ車3台)が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
275M60のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷327.5PS → 629PS
トルクの変遷102.0kgm → 90.1kgm
リッター馬力105.2PS/L
リッタートルク17.06kgm/L

今回の参考車両であるSクラスのV型12気筒5980cc、圧縮比9.0でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、4600-5000回転のとき最高出力629馬力を、2300-4300回転のとき最大トルク102.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2300回転での馬力は327.5PS、最高出力が発生する5000回転でのトルクは90.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は105.2PS/L、トルクは17.06kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積498.3cc)あたりの出力は52.4PS、8.5kgmです。

排気量1リットルあたりの馬力が105.2PS/L、トルクが17.06kgm/Lである275M60型のツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 7 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
82.6mm93.0mm5980cc9.01.13
ボアアップによる排気量アップ
83.1mm93.0mm6053cc9.091.12
83.6mm6126cc9.191.11
84.1mm6199cc9.301.11
84.6mm6273cc9.391.10
85.1mm6347cc9.491.09
85.6mm6422cc9.591.09

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の82.6mmから0.5mm刻みで+3.0mmまで拡大(82.6mm→85.6mm)した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。275M60型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.13から1.09に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2300rpm
最高出力
5000rpm
93.0mm7.1m/s15.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22.3km/h
4000rpm12.4m/s44.6km/h
6000rpm18.6m/s67.0km/h
8000rpm24.8m/s89.3km/h
10000rpm31.0m/s111.6km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが93.0mmのエンジンが最高出力を発生する5000回転での平均ピストンスピードは15.5m/sとなり、これは1秒間に15.5メートル(時速にすると55.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2300回転では7.1m/s、最高出力が発生する5000回転より500回転高い5500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.1m/sとなっています。

参考までにストロークが93.0mmの275M60型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.20m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6450回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


275M60型のエンジンを搭載する車種の例

全3件をアクセスが多いものから順に表示しています。
メーカー
車両型式
イメージ車名&グレード
記事リンク
出力
燃費
吸気 [駆動系]
車体形状 定員
ベンツ
221179
Sクラス
S65 AMG Long W221
(2011/11)
629ps
102.0kgm
5.8kmL
TT [FR/5AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
W220
Sクラス
S65 AMG Long W220
(2004/07)
612ps
102.0kgm
-
TT [FR/5AT]
セダン
5人乗り
ベンツ
216379
CLクラス
CL65 AMG C216
(2011/07)
629ps
102.0kgm
6.0kmL
TT [FR/5AT]
クーペ
4人乗り
[投稿日:2016/11/02]

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