BMW Z4 ロードスターの性能まとめ [BT32型|3.3L/343PS|FR/6MT|2008年] M-Roadster E85


 画像はBMWより引用
 http://www.bmw.co.jp/

BMWの2ドア・2人乗りオープンカー、BT32型の初代Z4 ロードスターは2003/01から生産が開始され、2009/05に生産(または販売)を終えました。ここでは2008/10モデルにある[M-Roadster E85]というグレードのカタログスペックを基に、数値から見た性能をインプレおよび評価・解説してみます。

ボディサイズが全長4120mm×全幅1780mm×全高1300mm、排気量は3245ccであることから、大雑把に分類すると3.3リットルクラス(3300cc、自動車税は3.5L以下を適用)に属し、全長、全高は5ナンバー枠ながら全幅が1.7mを超え、排気量も2000ccを超えていることにより3ナンバー登録になります。比較的コンパクトなボディに大きめなエンジンの組み合わせは世界戦略車(グローバルカー)やちょっとした高級車に良くあるパターンです。

ちなみに、車体形状や用途に関係なく全長のみを基準とした分類方法で各セグメントに当てはめると、全長が4120mmであるこの車の場合は「ロア ミディアム」(Lower-Medium 3850mm超-4300mm以下 Cセグメント相当)に属します。※国や時代によって基準は異なります

エンジンを車体の前方に搭載し、後輪のみを駆動する、いわゆるFR方式(フロントエンジン-リヤドライブ)を採用しています。前輪は操舵、後輪は駆動と役割分担が異なることから優れたハンドリングを得られるとされ、運転の質を求める人々から絶大なる支持を集めます。高級車の代名詞的な駆動方式です。

BT32型 Z4 ロードスター [3245cc/343PS FR/6MT] お品書き

ページが長大でどうにもならないため、ページ下部の項目にジャンプできるようなものを作りました。

エンジン性能と特性、パワーウェイトレシオ

ギヤ比と加速力&エンジン回転数と最高速

タイヤサイズ変更とスピードメーター誤差

各種スペックの相対評価とレーダーチャート

初代Z4 ロードスターの類型&他グレード

  • 吸気方式のNAは自然吸気、TBはターボ、SCはスーパーチャージャー、TSはTB+SCの略
  • ※燃費の文字が赤色のものはレギュラーガソリン、青色のものはハイオクガソリン、緑色のものは軽油を燃料とするエンジンを搭載した車種
画像排気量
車両価格
車両型式
グレード
出力
燃費
3.2L-NA
FR/6MT
830.0万円
DU32型
[M-Coupe E86]
(2008/10)
343PS
37.2kgm
3.0L-NA
FR/6AT
596.0万円
DU30型
[3.0si E86]
(2008/10)
265PS
32.1kgm
3.0L-NA
FR/6AT
610.0万円
BU30型
[3.0si E85]
(2008/10)
265PS
32.1kgm
10.2km/L
3.0L-NA
FR/6AT
596.0万円
BT30型
[3.0i 30-6S E85]
(2005/09)
231PS
30.6kgm
10.6km/L
3.0L-NA
FR/5AT
585.0万円
BT30型
[3.0i 30-6S E85]
(2005/09)
231PS
30.6kgm
9.3km/L
E85型 初代Z4ロードスター&クーペまとめ (E85 E86)【全9件】

主要諸元とエンジン諸元

主要諸元
メーカー BMW
車名&
グレード
Z4 ロードスター
M-Roadster E85
その他 Mロードスター
お値段 8600000円
車両型式 ABA-BT32
駆動&
変速機
FR(RWD,2WD,後輪駆動)&
6MT(6速MT,6段MT,6速マニュアル)
ドア数&
定員
2ドア
2人
車体寸法 長4120×幅1780×高1300mm
軸距&
輪距
2495mm
前1485mm/後1515mm
最小半径 5.3m
タイヤ 前225/45R18 後255/40R18
ブレーキ 前ベンチレーテッドディスク
後ベンチレーテッドディスク
車両重量 1430kg
エンジン諸元
原動機型式 S54B32
気筒配列 直列6気筒
排気量 3245cc
圧縮比 11.5
吸気方式 自然吸気(NA・ノンターボ)
最高出力 343PS(252kW 338HP)/7900rpm
最大トルク 37.2kgm(365Nm)/4900rpm
使用燃料 ハイオクガソリン
※直列6気筒とは‥シリンダを真っ直ぐ一列に6個配置する方式。理論上では完全バランスなれど今や絶滅危惧種。
※直列6気筒エンジンを搭載する車種の一覧
S54B32型エンジンの諸元と性能まとめ
※直列6気筒の最高出力ランキング

税金と年間維持費のシミュレーション

ここでは、春になると毎年欠かさず支払いを催促される自動車税(58000円)、払わなければ車検を受けさせてもらえない自動車重量税(12300円/年)と自賠責保険料(13920円/年)、年間1万km走行した際に掛かる燃料代月額7000円の任意保険に加入し、走行5000km毎にエンジンオイル交換、3年3万km毎にタイヤ交換するとしたときの年間維持費(ランニングコスト)を見てみます。

さらに、2008/10モデルのZ4 ロードスターを11年落ちの中古で189.2万円にて購入し、頭金なしで4年ローンを組んだと仮定したときの年間支払額(金利分は含まず)も踏まえて、上記の維持費と合算した場合の想定維持費も計算してみました。

  • 中古車の価格は当該車種の参照年から経過した年数に応じて新車価格の90%から10%の範囲で上下させています。
    Z4 ロードスターの2008/10モデルの場合、2019年現在では11年が経過しているため、新車価格の20%である172万円に諸経費として17.2万円を足した189.2万円を中古車価格の目安としています。
  • ローンの年数については月額5万円の支払いを基準として、ローンの支払額が60万円以下は1年、120万円以下は2年、180万円以下は3年、240万円以上は4年、それ以上は5年としています。
  • 任意保険の金額については特に根拠のない一例です。具体的な掛け金は運転者の年齢や家族構成、年間走行距離、保険内容、車両保険の有無等によって大きく異なります。
  • 保険スクエアbang!では最大20社より自動車保険料の比較・検討が可能です。

2008年式を11年落ちの中古で買った場合の年間維持費

名目 区分 金額
自動車税(1年分) 3500cc以下 13年未満 58000円
自動車重量税(1年分) 1.5トン以下 13年未満 12300
自賠責保険料(1年分) 自家用乗用車 13920円
燃料代(年間1万km) 10000km÷9.1km/L×160円/L 175820円
オイル交換(5000km毎) 1回6000円×2回 12000円
タイヤ交換(3年3万km毎) 1本18000円×4本÷3年 24000円
任意保険料(月額7000円) 月額7000円×12ヶ月 84000円
ローン完済後の年間維持費 380040円
名目 区分 金額
車のローン額(1年分) 月額39420円×12ヶ月 473040円
ローン返済中の年間維持費 853080円
次回車検費用の積み立て目安
重量税2年分+自賠責24ヶ月分+検査手数料等3000円程度 55440円
  • 平成25年4月1日からの自賠責保険料の改定に対応。
  • 平成27年4月1日からの自動車税の割増(10%増→15%増)に対応。
  • 平成28年4月1日からの自動車重量税の変更に対応、
    ただし今流行のエコカー減税(自動車税、自動車重量税等の減免)には対応できていません。
  • 10・15モード燃費、JC08モード燃費、WLTCモード燃費いずれもデータがないので10.0km/Lを仮の燃費として代入。
  • 車検時には上記の目安金額55,440円の他に法定24ヶ月点検に関連する費用が必要です。
  • 名目にある金額の基準は、年間維持費の算出基準まとめ をご覧ください。

年間の維持費が60万円前後では曖昧だった貧民と平民の線引きがこの辺りから明確になってきます。月換算で3~4万円、年間では36~48万円クラスとなると、それなりの収入が継続的に見込めないと手を出せないクラスです。この車の場合は月単位で換算すると31,670円(完済前は71,090円)になります。金銭的にシビアな人からは「車なんてどれもタイヤが4つあるだけなのに、なんでこんなにお金の掛かる車に乗ってるんだ…修行か…」と奇異の目で見られていることでしょう。でも憧れちゃいます。

1km走行コストと月間&年間交通費

距離/日費用/日月換算年換算
10km180円4000円4.7万円
20km350円7700円9.1万円
30km530円11700円13.8万円
50km880円19400円22.9万円
100km1760円38700円45.8万円

さて、ハイオクガソリン1リットルの燃料価格を160円、燃費を9.1km/Lとしたとき、1km走行あたりのコストは17.58円になります。

たとえばこの車を通勤車とした場合、1日の走行距離が10kmなら燃料代は180円/日となり、20km走行なら350円/日、30km走行なら530円/日、50km走行なら880円/日、100km走行なら1760円/日かかる計算です。

1か月の労働日数を22日として計算すると、通勤距離が10kmなら月間の走行距離は220kmで燃料代は4000円/月、20kmなら440kmで7700円/月、30kmなら660kmで11700円/月、50kmなら1100kmで19400円/月、100kmなら2200kmで38700円/月かかります。

1年間の労働日数を260日とすると、通勤距離が10kmなら年間の走行距離は2600kmで燃料代は4.7万円/年、20kmなら5200kmで9.1万円/年、30kmなら7800kmで13.8万円/年、50kmなら13000kmで22.9万円/年、100kmなら26000kmで45.8万円/年となります。

1年間のランニングコスト(年間維持費) ランキング
3500cc以下輸入車編オープンカー限定


カタログスペックから見えてくる要素

S54B32型エンジン簡易性能曲線図
S54B32型エンジン性能曲線図もどき
各回転域での馬力
4900回転時の馬力 255PS
7900回転時の馬力 343PS
各回転域でのトルク
4900回転時のトルク 37.2kgm
7900回転時のトルク 31.1kgm
S54B32型エンジンの諸元と性能まとめ

まずおさらいとして、搭載しているS54B32型3245cc、直列6気筒の自然吸気エンジンは7900回転時に最高出力343馬力を、4900回転時に最大トルク37.2kgmを発生します。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力が計算できますので、それぞれの点と点とを線で繋いでパワーカーブとトルクカーブのエンジン性能曲線図もどきを作ってみました。

トルクの山が中央より左にあるか右にあるかを基準にしてエンジン特性を探ってみますと、最大トルクの発生回転数が若干高めにあるこのエンジンは、普段使いでも不足を感じることなく、それでいて高い回転数を維持すればスポーティな走行も楽しめるバランスの良さが魅力です。

※実際のところは車両重量やギヤ比、排気量に対する気筒数の多少によって印象が異なってくると思います。

ちなみに、エンジンのパワーバンドを「最大トルクが発生する4900rpmから最高出力が発生する7900rpmまで」の3000rpmとしたときの、最高回転数に対するパワーバンドの割合は38.0%となります。※右記(下記?)簡易性能曲線図オレンジ色の帯域

さて、車の速さを知るための指標としてよく使われる パワーウェイトレシオ4.17kg/PS(1430kg/343PS)となっていますが、巷でよく見るであろうこの数値の多くはドライバーが乗った状態でのものではなく、あくまでも車両重量と最高出力のみで計算したものです。

車重と搭乗者とPWR
車体のみ4.17kg/PS
車体+1人4.33kg/PS
車体+2人4.49kg/PS
お腹と車重とPWR
車体+60kg4.34kg/PS
車体+70kg4.37kg/PS
車体+80kg4.40kg/PS
車体+90kg4.43kg/PS
車体+100kg4.46kg/PS

というわけで、車両総重量の求め方に倣い人間の体重55kgを加えて計算し直してみますと、ドライバーのみが搭乗したときのパワーウェイトレシオは4.33kg/PS(1485kg/343PS)となり、数値としては0.16kgほど悪化します。

次に乗車定員いっぱいの2人が搭乗した場合、車両重量に110kgがプラスされてパワーウェイトレシオは4.49kg/PS(1540kg/343PS)となり、0.32kgも悪化することになります。

もともとが重量級の車であれば、人が少々乗ったところで体重の占める割合が小さいことから変化も小さいですが、軽量級の車ではお腹まわりのお肉が大きな影響力を持つことがわかります。

いろいろな数値
WB/TR比 1.66
平均ピストンスピード 24.0m/s
トルクウェイトレシオ 38.4kg/kgm
1馬力あたりのお値段 25073円
排気量1Lあたり馬力 105.7PS/L
排気量1Lあたりトルク 11.46kgm/L
1気筒あたりの馬力 57.2PS
1気筒あたりのトルク 6.2kgm
パワーバンド比率 38.0%
各種ランキング
オープンカーのP/Wレシオ
3.0~3.5L以下のP/Wレシオ

トルクウェイトレシオは38.4kg/kgm(1430kg/37.2kgm)なのですが、トルクについてはギヤ比でどうにでもなりますので、ここでの大小はあまり重要ではありません。(詳しくはギヤ比編にて)

ついでに馬力単価を計算してみると、お値段が8600000円、最高出力が343馬力であるこの車の場合、1馬力あたりのお値段は25073円、逆に1万円あたりでは0.40馬力を得ることができます。ついでのついででトルク1kgmあたりのお値段は231183円、1万円あたりでは0.04kgmとなります。

最高出力を排気量で割ったリッター換算馬力は105.7PS/L、トルクは11.46kgm/L、1気筒あたりの馬力は57.2馬力、トルクは6.2kgmとなり、このエンジンが343馬力を7900回転で発生させているときの平均ピストンスピードは24.0m/sです。
排気量1リットルあたりの馬力ランキング

ちなみに、ストローク量が91.0mmであるS54B32型エンジンの場合、平均ピストンスピードの上限を20.0m/sとしたときの高回転化の上限は6590回転です。最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えているこのエンジンは実に良く設計された秀逸なエンジンであると言えます。一昔(二昔?)前の常識を覆す誉れ高きエンジンですので、ぜひとも重要文化遺産に登録して後世に伝えていかねばなりません。
平均ピストンスピードが速い車ランキング

この車のホイールベースを前後トレッドの平均で割って算出されるホイールベーストレッド比は1.66になります。全ての車種の平均値である1.77を基準にざっくりと分類すると、どちらかというと小回りを得意とする傾向にある車と言えそうです。
ホイールベーストレッド比が小さい車ランキング


速度と車両重量と運動エネルギー

「スピードを出して事故をすると大変なことになる…!」あるいは「重いとブレーキをかけてもなかなか止まらない…」と感覚的には知っていても、なぜ大変なことになるのか、なぜ止まらないのかは今ひとつピンと来なかったりします。

そこで取り出しましたのが運動エネルギーなるもので、これはある重量の物体がある速度で移動しているとき、どれだけのエネルギーを有しているのかを数値的に知ることができるという代物です。

というわけで、Z4 ロードスターの車両重量1430kgに1人ぶんの体重55kgを加えた1485kgと、2名フル乗車時の1540kgという2つの重量を用意して、40km/hから180km/hまでの速度域で運動エネルギーがどのように変化するのかを調べてみました。

速度1名乗車
1485kg
2名乗車
1540kg
40km/h92kJ95kJ+3kJ
60km/h206kJ214kJ+8kJ
80km/h367kJ380kJ+13kJ
100km/h573kJ594kJ+21kJ
120km/h825kJ856kJ+31kJ
140km/h1123kJ1165kJ+42kJ
180km/h1856kJ1925kJ+69kJ

たとえば1名乗車で40km/h走行しているときの運動エネルギーは92kJ、2名乗車では95kJとなり、その差は3kJ、倍率にすれば1.0倍ほどの増加でびっくりするほどではありません。

が、速度が倍の80km/hになると1名乗車でも367kJ、2名乗車では13kJ増加して380kJにもなり、重量から見れば1.0倍のままなれど、40km/hでの運動エネルギーと比べると4.0倍も増加しています。

これが180km/hになると1名乗車で1856kJ、2名乗車では69kJ増加して1925kJにもなり、80km/hと比べても5.1倍、40km/hと比べると20.2倍ものとんでもない運動エネルギーを有していることがわかります。

さて、速度が同じなら重いほうが運動エネルギーは大きくなることがわかりましたので、続いては運動エネルギーを573000Jとした場合に、重量の異なる自動車では時速何kmに相当するのかを調べてみます。

重量573kJ
速度
100キロ
[kJ]
600kg157km/h231kJ-342kJ
800kg136km/h309kJ-264kJ
1000kg122km/h386kJ-187kJ
1485kg100km/h573kJ
2000kg86km/h772kJ+199kJ
2500kg77km/h965kJ+392kJ
3000kg70km/h1157kJ+584kJ
※100km/h[kJ]は各重量の車両が100km/h走行しているときの運動エネルギー

ここでは車両重量+体重55kgの1485kgを基準として、600kg、800kg、1000kg、2000kg、2500kg、3000kgで計算してみました。

考えたくもないことですが、たとえば同じ100km/hで走行する相手と正面衝突する場合、相手が600kgであれば当たり負けすることはなく、その相手が157km/hのとき互角の勝負になります。

逆に相手が3000kgで重い場合、双方が100km/hでは当たり負けして弾き飛ばされますが、相手が70km/hであれば互いに引かぬ真っ向勝負に持ち込める、というような雰囲気です。

いずれにせよ超スピードで事故をすれば衝突安全ボディもなんのその、車は雲散霧消の勢いで大変なことになり、ブレーキローターとブレーキパッドが身を削り、身を粉にして車を止めようにも一筋縄ではいかないことがわかる…ような気がしてきます。


燃料タンクと燃費と航続距離と

燃料タンクと燃費と航続距離と
暫定基準燃費 9.1km/L
燃料タンク容量 55L
航続距離(カタログ燃費) 500.5km
航続距離(80%燃費) 401.5km
満タンプライス 8800円

10・15モード燃費、JC08モード燃費、WLTPモード燃費ともにデータがないので9.1km/Lを仮の燃費とすると、燃料タンクの容量が55リットルですと航続可能距離は500.5kmになります。(カタログ燃費通りに走行できた場合)

実際にはそうもいきませんから、オイル交換やタイヤ空気圧の管理といった定期メンテナンスを確実に実施した上での実燃費をカタログ燃費の90%(8.2km/L)とすると451.0km、80%(7.3km/L)だと401.5km、70%(6.4km/L)では352.0kmという航続距離になります。

燃料タンクに1滴の燃料もないスッカラカンの状態から満タンにしたときの金額を計算してみますと、ハイオクガソリン55リットルの給油で8800円、上で計算した航続距離を踏まえると500.5km(80%燃費時401.5km)を走行するのに8800円かかる計算です。


ギヤ比と回転数と速度と駆動トルクとトルクウェイトレシオのステキな関係

続いてギヤ比を見てみます。あるギヤで走行中にエンジン(正確にはクランクシャフト)をレブリミットまで回したときの速度と、レブリミットでシフトアップした後の回転数を計算するためには、何回転で回転リミッターが働くのかを知らねばなりません。

しかし具体的な数値を知るにはECU(エンジン・コントロール・ユニット)にあるデータを参照しなければならなかったりで実現は厳しく、ならばとレッドゾーンが始まる回転数から推測しようにも、最近ではタコメータが装着されていない車両が多くあって心が折れます。

ピークパワーが発生する回転数(この車の場合7900rpm)から必要以上に回してもあまり意味はないのでそれを上限としても良いのですが、気分よく運転しているときは往々にして回しすぎるのが常ですから、ここでは500回転をプラスした8400回転を仮のレブリミットとして計算してみます。

暫定レブ 8400rpm|タイヤサイズ 255/40R18|タイヤ直径 66.1cm|円周長 207.7cm
ギヤ ギヤ比 総減速比 ステップ比 シフトアップ
後の回転数
8400rpm
の速度
100kmh
の回転数
タイヤの
最大駆動力
1速 4.350 15.72 66.6kmh 12620rpm 1770.0kgm
2速 2.496 9.023 0.574 1-2/4820rpm 116.0kmh 7240rpm 1015.6kgm
3速 1.665 6.019 0.667 2-3/5600rpm 173.9kmh 4830rpm 677.5kgm
4速 1.230 4.446 0.739 3-4/6210rpm 235.4kmh 3570rpm 500.5kgm
5速 1.000 3.615 0.813 4-5/6830rpm 289.6kmh 2900rpm 406.9kgm
6速 0.851 3.076 0.851 5-6/7150rpm 340.3kmh 2470rpm 346.3kgm
Final 3.615 レシオカバレッジ(変速比幅)5.112
ギヤの繋がりイメージ
BT32型Z4 ロードスター6MT車のギヤ比イメージ
  • ステップ比(歯車比)とは隣接したギヤ同士の離れ具合を示した数値で、1.000に近いほどシフト操作後の回転数の変化が小さく(ギヤ同士の繋がりが良い)、離れるほど変化が大きく(繋がりが悪い)なることを表します。
    シフトアップでは現在の回転数にステップ比を乗じた回転数まで下がり、シフトダウンでは現在の回転数にステップ比を除した回転数まで上がります。
    赤い数字はシフトアップ後にパワーバンドの下限(最大トルク発生回転数4900rpm)を下回るもの。
  • 時速100kmでの回転数は100km/h÷60÷タイヤ円周長×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.615)で算出。
  • タイヤの最大駆動力は最大トルク(37.2kgm)×各ギヤ比×ファイナルギヤ比(3.615)÷タイヤの有効半径(0.3305m)で算出。

本来のレブリミットとは異なるので最高速の数値は前後しますが、上記の設定での最高速度は6速ギヤの340.3km(7900rpmでは320.0km/h)となります。この速度は空気抵抗、パワー不足、スピードリミッターなどネガティブ要素の一切を無視して、単にギヤ比とエンジン回転数、タイヤサイズだけで計算した速度です。

おまけ:7900rpmでシフトアップする場合の各ギヤ速度

7900rpmでの速度と
シフトアップ後の回転数
ギヤ速度回転数
1速ギヤ63km/h
2速ギヤ109km/h4530rpm
3速ギヤ164km/h5270rpm
4速ギヤ221km/h5840rpm
5速ギヤ272km/h6420rpm
6速ギヤ320km/h6720rpm

BT32型Z4 ロードスターに搭載されたS54B32型3245ccエンジンのレブリミットを、最高出力が発生する7900rpmとしてシフトアップするときの速度をシミュレートしてみます。

まず1速ギヤで7900rpmまで引っ張ると63km/hまで加速し、2速ギヤにシフトアップすると回転数は7900rpmから4530rpmまで落ち、そこから7900rpmまで加速を続けると速度は109km/h(+46km/h)になります。

3速ギヤでは5270rpmまで落ちて7900rpmで164km/h(+55km/h)に、4速ギヤでは5840rpmまで落ちて7900rpmで221km/h(+57km/h)になります。

続いて5速ギヤでは6420rpmまで落ちて7900rpmで272km/h(+51km/h)に、6速ギヤでは6720rpmまで落ちて7900rpmで320km/h(+48km/h)という具合に加速していくイメージです。

タイヤの最大駆動力にある数値は、エンジンが4900回転で最大トルク37.2kgmを発生しているとき、各々のギヤを介したのち実際にタイヤへと伝えられるトルクで、この数値が大きいほどタイヤを回そうとする力が大きく、より力強い加速をすることができます。

この数値を大きくするにはギヤ比を低く(加速重視・ローギヤード)する、タイヤを小径化する、エンジンの最大トルクを大きくするという方法があります。逆にギヤ比を高く(最高速重視・ハイギヤード)したり、タイヤを大径化したり、デチューンして非力にすると駆動トルクは小さくなって加速が鈍ります。

さて、世の中にはパワーウェイトレシオ(1馬力が担う重量・PWR)に似ているようで少し違うトルクウェイトレシオ(1kgmが担う重量・TWR)という指標があります。単純に車両重量を最大トルクで割れば38.4kg/kgmですから、パワーウェイトレシオ(4.17kg/ps)に比べると霞んで見えます。

しかしトルクはギヤを介することで増幅され、たとえば1速ギヤの場合ですと1770.0kgmになります。これを踏まえて改めて車両重量(1430kg)を1速ギヤの最大駆動力(1770.0kgm)で割ってみると0.81kg/kgmとなり、今度は逆にPWRが霞んで見えるような数値が出てきます。最高出力が発生する7900回転でのトルク(31.1kgm)からTWRを算出すると0.97kg/kgmとなり、4900-7900回転の回転域では0.81-0.97kg/kgmの間で推移することがわかります。

ある速度における各ギヤでの回転数

ギヤ 40
km/h
60
km/h
80
km/h
100
km/h
120
km/h
140
km/h
180
km/h
1速 5050 7570 10090 12620 15140 17670 22710
2速 2900 4340 5790 7240 8690 10140 13030
3速 1930 2900 3860 4830 5800 6760 8690
4速 1430 2140 2850 3570 4280 5000 6420
5速 1160 1740 2320 2900 3480 4060 5220
6速 990 1480 1970 2470 2960 3460 4440
※赤い数字は暫定レブリミット(8400rpm)を上回るもの。

この項目では各々のギヤと速度を基準として、任意のギヤを選択中に時速40km~180kmにて走行するとき、エンジンの回転数がどのくらいになるのかを一覧表にしてみました。この車の場合、最も高いギヤ(0.851)を選択して時速100kmにて走行すると2470回転まで回ります。

ちなみに、一般道の速い流れやバイパスでよくある60km/hでは1480回転、対面通行の高速道路での制限速度70km/hでは1730回転、一般的な高速道路の80km/hでは1970回転、100km/hでは2470回転、制限速度が120km/hになると2960回転になります。小型・普通乗用車の速度リミッターが働く180km/hでは4440回転まで回ります。

一般的な自動車であれば時速100kmでの巡航回転数は2500回転付近に落ち着くようですが、その中でも若干低めの回転数となっています。標準的なギヤ比の範囲内ながらも加速よりも静粛性や燃費に重きを置いた設定なので、急な坂道や長く続く坂道では積極的にギヤを1段下げる操作が必要になるかもしれません。

ある回転数における各ギヤでの速度

ギヤ 1000
rpm
2000
rpm
3000
rpm
4000
rpm
5000
rpm
6000
rpm
7000
rpm
8000
rpm
1速 8 16 24 32 40 48 55 63
2速 14 28 41 55 69 83 97 110
3速 21 41 62 83 104 124 145 166
4速 28 56 84 112 140 168 196 224
5速 34 69 103 138 172 207 241 276
6速 41 81 122 162 203 243 284 324

この項目では各々のギヤとエンジンの回転数を基準として、任意のギヤを選択中にエンジンを1000回転刻みで8000回転まで回したとき、それぞれのギヤでどのくらいの速度が出ているのかを一覧表にしてみました。暫定レブリミット(8400回転)よりも回転数が高くなる欄の速度については赤文字で表記してあります。


純正装着タイヤの255/40R18と互換可能な車検対応サイズ|簡易版

下の表では純正サイズを基準としてタイヤ幅を-20mmから+20mm、扁平率を-5%から+5%まで変化させたときのスピードメータ誤差が、マイナス方向を水色、-5.0%から+2.0%までを緑色、+6.0%までを橙色に着色しています。

※ここではタイヤの直径(外径)のみを基準としています。タイヤの幅を広くしすぎてサスペンションと干渉したり、はみ出てしまって車検に通らないからとフェンダーを叩いたり引っ張ったりキャンバーを付けたりで四苦八苦、ホイール幅が狭すぎてなんかイマイチ…という事例もありますので、ホイールのオフセットとリム幅にはご注意ください。

純正タイヤ 255/40R18 | 直径 661mm

-20mm
幅235mm
-10mm
幅245mm
変更なし
幅255mm
+10mm
幅265mm
+20mm
幅275mm
-5%
35
扁平
235/35R18
37.6km/h
直径622mm
径差-39mm
245/35R18
38.1km/h
直径629mm
径差-32mm
255/35R18
38.5km/h
直径636mm
径差-25mm
265/35R18
38.9km/h
直径643mm
径差-18mm
275/35R18
39.3km/h
直径650mm
径差-11mm
0%
40
扁平
235/40R18
39.0km/h
直径645mm
径差-16mm
245/40R18
39.5km/h
直径653mm
径差-8mm
255/40R18
40.0km/h
661mm
0mm
265/40R18
40.5km/h
直径669mm
径差+8mm
275/40R18
41.0km/h
直径677mm
径差+16mm
+5%
45
扁平
235/45R18
40.5km/h
直径669mm
径差+8mm
245/45R18
41.0km/h
直径678mm
径差+17mm
255/45R18
41.6km/h
直径687mm
径差+26mm
265/45R18
42.1km/h
直径696mm
径差+35mm
275/45R18
42.7km/h
直径705mm
径差+44mm
+10%
50
扁平
235/50R18
41.9km/h
直径692mm
径差+31mm
245/50R18
42.5km/h
直径702mm
径差+41mm
255/50R18
43.1km/h
直径712mm
径差+51mm
265/50R18
43.7km/h
直径722mm
径差+61mm
275/50R18
44.3km/h
直径732mm
径差+71mm

もし上記表の中から車検に安心なタイヤを選ぶのであれば、メーター誤差が-5.0%から0%の間にあって車高への影響も少ない 、235/40R18 、245/35R18、245/40R18 、255/35R18 、265/35R18 、275/35R18あたりのタイヤがおすすめです。

255/40R18のタイヤ幅を235mmから285mmまで、扁平率を25%から55%までの範囲に拡大した適合タイヤの一覧表および、100km/h回転数、加速力と最高速の変化、走行距離計の誤差による実燃費とのズレについては、255/40R18の適応サイズと性能の変化 [BT32型Z4 ロードスター編]のページをご覧ください。

純正のホイールサイズから大径化したり、幅の広いタイヤ、扁平率の低いタイヤに交換しようとするとタイヤ代が高くなる傾向にありますので、少しでも維持費を抑えたい、今はお財布の中身が心許ないといった際にはオートウェイのタイヤ通販をご検討くださいませ。


BT32型Z4 ロードスター[3.3L-NA FR/6MT]の得点(簡易版)

ここではこのページを締めくくる集大成として、パワーウェイトレシオや1速ギヤでの加速性能、排気量1Lあたりの出力、ホイールベーストレッド比からなるスポーツ性能部門と、時速100kmでの巡航回転数、燃費、車体の大きさ、室内の広さからなるユーティリティ部門とに大別し、このサイトで登録している全車種の平均値から偏差値を求めて優劣を調べてみたいと思います。

スポーツ性能部門
評価項目数値得点
パワーウェイト4.17kg/ps65.33
1速ギヤ加速性能0.81kg/kgm67.73
1L換算馬力105.7ps/L76.31
1L換算トルク11.46kgm/L74.68
WB/TR比1.6661.67
ワイド&ロー指数0.73061.08
前面の面積2.314m²57.57
最低地上高43.35
スポーツ性能部門の得点507.72

※ここではパワーウェイトレシオ・1速ギヤ加速性能・ホイールベーストレッド比・ワイド&ロー指数・前面の面積については数値が小さいほど高得点。リッター換算馬力・換算トルクについては数値が大きいほど高得点としています。


ユーティリティ部門
評価項目数値得点
燃費41.55
年間維持費380040円45.38
100kmh回転数2470rpm50.89
航続距離25.34
車の大きさ9.534m³42.59
室内の広さ(仮) 1.729m³32.87
最小回転半径5.3m47.23
馬力単価25073円43.98
ユーティリティ部門の得点329.83

※ここでは燃費・航続距離・車の大きさ・室内の広さは数値が大きいほど高得点、年間維持費・100km/h回転数・最小回転半径・馬力単価は数値が小さいほど高得点としています。

スポーツ性能部門およびユーティリティ部門の得点を合計した BT32型Z4 ロードスター[3.3L-NA FR/6MT] の総合得点は 837.55 点です。獲得点数が多い車種から順番に並べた 総合得点ランキング を用意してありますので、よろしければご覧ください。

上記リンク先では、今回このページで紹介したBT32型Z4 ロードスター(FR/6MT) の各種スペックを、「全ての車種」、「全てのオープンカー」、「3500ccのオープンカー」という属性で評価したとき、それぞれの項目が相対的にどのくらい優れているか、劣っているかを調べてみました。基準が変わると手のひらを返したように評価も変わる様子をご堪能ください。投稿日:2012/01/04|更新日:2018/02/09


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